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彦ぷんが慌てているので、また締め切りを間違ったのかなって思ってたら、彦ぷんのヒザでハナちゃんが寝ていた、目がとろ〜んとしている。ご飯をお腹いっぱい食べたのかな?でも…ハナコがボクの方を見て泣いている様な目をした。何があったのハナちゃん、
もう何も言わないけど目が悲しそうだよ。
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朝、彦ぷんが大声を出しているので目が覚めた「ダメだよ!許さないからね!まだ いっちゃダメなんだよハナコ!!ほら目を開けるの!!分かる??」口からストローや注射器やいろんなものでご飯や水が入れられたけど…ハナちゃんはもう食べなかった。その内に彦ぷんの声が静かな口調になった「疲れたねハナちゃん、いっぱい頑張ったもんね、苦しかったね、いいよぉもう苦しくないんだよオヤスミ」って言って床に涙がボタボタと落ちた。
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ハナちゃん…眠ってる、
ボクだよタロウだよ。
ねえハナコっ。
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呼んでもハナコが起きない、彦ぷん…高いトコに乗せておかないで 、ハナちゃんの顔を見せて。え?もう起きないって?なぜ?どうして?寝てるんだよねハナコ…
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ねえ…ハナちゃん?
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ボクのハナコ…どうして起きないの?寒いの? こんなに冷たくなってる…ハナコ?
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彦ぷんが「ハナちゃんは死んだんだよ」って言った 。知らないおじさんがハナちゃんを迎えに来た。彦ぷんが「これも一緒に焼いてくれますか?」と、おじさんに尋ねてボクの小さなバスケットボールを、ハナコの上に乗っけた。ほら見ててごらん、ハナちゃんがもうじき起き上がってボールをくわえるよ「あたしのボールって言って」さ、ねえハナコ、ほらほら…起きて…ねえ
ハナコは、おじさんに連れられて出て行っちゃった…
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でも… その日の午後 、彦ぷんが言った
「ハナちゃんが帰って来たよ」って。
やっぱり思った通りだ、お帰りハナコ!!
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ハナちゃんは帰って来なかった。彦ぷんのウソつき、
元気なハナコが玄関からぴょんぴょん飛び跳ねて走ってくるのを、
待ってたのに、「骨になっちゃったんだよ」ってみんなが言う。
そんなのうそだよね?
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ハナコのケージは畳んじゃうんだって、彦ぷんがそう言ってた。じゃあハナコはどこに戻ってくるの?帰って来たらお家が無いじゃないか。ほらハナちゃんの匂いがまだするよ…
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今日…彦ぷんがボクを抱きながら言った「長生きするんだよタロウ」ボクの顔に彦ぷんの涙が落ちた、もうハナコは戻ってこないんだ ボクにも何となく分かる。でも泣かないで彦ぷん。ハナコに笑われるよ、ボクには見えるもん、ピンク色の鼻をヒクヒクさせて笑ってるハナコの顔が。
小さなバスケットボールをくわえて、はしゃいでるあの可愛らしい姿が…
だから泣かないで。
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