ボクの名前はタロウ
この家にはジロウ君の次に来た。彦ぷんから電話が来て、スグに家に連れて行かれたからボクはペットショップに1日しか居なかった。ジロウ君とボクは結構うまくやっていた。と言うよりジロウ君は誰が居ても我が道をいくフェレだから。事態が急変したのは、あの子が来てからだ。

 


この子だ、「ハナコって言う名前だよ」…って彦ぷんが紹介してくれた。ピンク色の鼻をした女の子だった。「いいか女の子だからね、いじめちゃダメだよ!」って彦ぷんは言ってたけど、いじめられたのはこっちの方だ。ケンカすると…いつも彼女だけ抱っこされて「大丈夫だったか?いじめられたか?よしよし」ってなだめられて、僕らが叱られるのを抱かれながら上から眺めてるんだ 。

 


←まだ産毛のハナコ〔このあとどんどん白くなる)。
これはボクのボールだ、ハナコに取られた。他にもお気に入りの小さなバスケットボールがあったんだけど、それなんか、まるっきりハナコのお気に入りにされちゃったんだ、女の子ってみんなこんなに嫌な奴なのかな?

 


でも彼女は、僕らと同じ事をやりたがった。部屋を仕切っている板から中をのぞいてると…小さい身体で一生懸命のぞいたりしてた。彦ぷんが言ってた「彼女は目があまり良くないんだ」って、だから一生懸命見てたのかもしれない。だんだんボクは、ハナコが可愛そうになった。

 


彼女はケージの上に上がって、彦ぷんの仕事部屋を毎晩眺めていた、そうするとそれに気づいた彦ぷんがやって来て「どうした?ハナちゃん?」って抱っこしてくれるからだ、そうなんだ、彼女は人一倍寂しがりやだったのかもしれない。…でも「ケージの上に登って潤んだ目で訴えるのはいい手だ」って、誰かが言った。

 


さっそく翌日、僕らもマネをした。すぐに彦ぷんは気づいてやって来た、「よし抱っこだ!」って思ってたら「ナニ考えてんだっお前ら?エサは、さっきやったろ!」って怒られてドアを締めちゃった。「きっと〆切り前でイラだってたんだろ」ってジロウ君が言ってたけど、イラ立つって何だかボクには解らない。
〔7年間に続く)

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