タロウ
ジロウ

ハナコ

ハナコは…

6歳半、ニュージーランド産セーブルミットのフェレット♀

病   名

ひ臓、すい臓、副腎腫瘍、貧血性

気づいた時

寝ている時間が多くなり、痩せたと思った頃…モノを激しく噛んだり他のフェレットとのいざこざが増え、妙に気が立っていると感じた。この頃、歯ぎしりに気づき大急ぎで病院へ、
(2002年3月)

そ の 後

行きつけの病院から紹介され、2院回ってみたが貧血が酷く、極度の貧血性と年もとっているため手術に堪えられないだろうということで、腫瘍の除去手術を断念最後を我が家で看取る事に。この頃はまだ、彼女のいらだちと歯ぎしり以外は外部からは異常も見られなかった。徐々に腫瘍が肥大しだして途中数度の通 院はするが、やはり手の施しようが無いとの事で楽な最後をと、祈り続ける。
そして… もう明日にもダメだろうと言われてから…ちょうど1年…周囲が驚くほど頑張った、そして2003年2月13日〔木)肌寒い午後 眠るように逝く。
ちいちゃくて可愛かった我が家のオテンバ娘

2002年3月初旬

夢に出てくるハナコ


徹夜続きのある日、私は夢を見た…
布団の足もとに重みを感じて、ふと観るとタロウが居るではないか、
「おい、誰かドアが開いててタロウが入ってきているぞ」というが誰も何も答えない
タロウは不思議と動かずに、私を観て何か言っている様子だった、それは
目で「あれを見て」って言っているかのように、何度も首を振る。
彼がアゴをしゃくってさす方に、 彼らのケージが見える、
その中に具合悪そうに顔をしかめたハナコが寝ていた。
「どうしたハナコ?」私の問いに苦しげに私を見つめるだけのハナコ…… 目が覚めた

夢が気になって体を触ってみると、ここ数日でげっそりと痩せているのが解った。
これはただ事ではないぞ、と仕事明けに病院に連れていく。

診断結果は、「今は極度の貧血」とだけしか言えないとのこと。
予想は、「フェレットに多い異物飲み込みによる腸閉塞?」
処理としては「血液検査」「音波検査」「バリウムレントゲン検査」
そのため 検査入院が必要となり、 彼女は1晩入院を余儀なくされた。
ここから、ハナコの闘病生活が始まる。


2002年3月14日

点滴、もう1日入院


面会に行くと、前脚に点滴の針を刺されて、ぐったりと精気の無いハナコに驚く。
血液検査では、 血液中の赤血球、血小板、が極度〔普通 のフェレの3分の1〕まで減少
していてる事、 バリウム検査では異常はなく、異物は検出されなかった事、
レントゲンには腫瘍らしきモノの影が発見され、エコー検査でも顕著な異物の影がある事
貧血の原因が腫瘍によるものである可能性はかなりの確率で高い事などが伝えられた。

開腹手術すれば治るかどうか、通い付けの病院では不明。
それより何より、今の貧血状態での手術は不可能〔体が手術に耐えられない)との事。
相模原の専門医を紹介されもう1日消化酵素と、栄養剤の点滴をするため
入院させる事になる。
専門医に連れていく以外道はないだろう。かかりつけの病院でも手術くらいの措置は
しているのだが… ハナコの様子から、大事を取って専門医の紹介になったようだ。


2002年3月15日

仮退院、専門医予約


翌日、仮退院して紹介された専門医を訪ねることにして、一時帰宅。
ハナコは、ぐったりと動こうともしない。そのため急遽大きなケージの上に
かつて使っていたプラスティック製のケージ(ミカン箱程度〕を、
ハナコ専用に 組み立てる 。

専門医に電話予約すると4日後の月曜日にしか予約が入らなかった。
それまで生きてるものなのか不安に駆られながら、猫用の離乳食〔ペースト状の餌)
を寝ているハナコの口に運んでやる。
メモ用紙をケージの上に張り餌時間と食べた量をメモする、 3時間おきに餌を与える、
寝ていても口に運ぶようにする。 フェレットは4時間も餌を食べないと血糖値が下がって
死んでしまうからだ。
そこに専門医から電話「今N医院〔かかりつけの獣医さん)から検査結果 のFAXが
届いたんですが、 ハナコちゃんの様態は、予断を許せない状態です。
そこで月曜日までもたないかも しれないんで、 明日にでも来られますか?
何とか予約を入れますので」
と言ってきた。
すぐに翌日の予約を入れてもらうが 、そう言われては、なおさら目が離せない。
気を抜いたら冷たくなって いかねない状態なのか。


2002年3月16日

専門医を訪れるが…


仕事のスケジュール的にきつい中、専門医に向かう。
車を飛ばし土曜日の渋滞で片道3時間半かかる。
専門医の検査結果:エコー&レントゲンの結果から腫瘍が見つかる、
腫瘍は、ひ臓、すい臓、腎臓にも ある可能性もあり、 開腹しても助かる保証はない、
との事。
それでも開けてみれば貧血原因が判明するかもしれない…その前に輸血無しでどうにもならない。
しかし、輸血する血管が点滴時につぶれていて、首の静脈に直接穴を開けて輸血するか、
脊髄からと言う強引な方法しかなさそうだが、 その時の麻酔に今の状態では耐えられないかも
しれない… 仮に輸血に成功しても、手術に堪えられるかどうか疑問だと言われた。
なおかつ 今日、今ここで死んでも「寿命」だと言われても仕方のない年
〔6歳)だとも言われる。
医師は、家族の前で「決断」を求めた。手術、輸血、その2個をクリアできて初めて
元気を取り戻せる… しかし、手術しても助からないだろう、と言われ、 その前の輸血でも
死ぬかもしれない… 輸血で入れた血液が数時間で元に戻ってしまうこともある。
夜間は留守になるので万が一の場合は保証できない…
これだけでも、今後の処置にはかなりのリスクを伴う。

ましてや 、「輸血のためには、健康な輸血用フェレットが必要で、 場合によっては
そのフェレットも死亡することもある」
それをきいて、我が家の結論は決まった。
これ以上、ハナコに痛い思いをさせたくない事、助かる保証の無い彼女のために
別のフェレも殺したくない。 本音を言えば、彼女を助けるためなら何でもしてやりたいが…
それは出来まい。
誰もいない病院で寂しく死ぬくらいなら、せめて我が家の他のフェレや家族の見守る中で
最期を迎えさせてやりたい。

泣く泣く、何もせず「このまま見取る」という結論で帰宅する。車の中で無言になる家族。
「ハナコが家に来て検査入院費6万円分くらい 、俺達に幸せはくれたよな?
じゃあ、しょうがないな… ハナコへのお礼だと思って、このくらいの出費は仕方ないだろ」
っと、言いながら涙でフロントガラスが霞む。


2002年3月下旬

自分で餌を食べるハナコ


ずっと離乳食を与えていたが、彼女の体の中で脂肪分が分解されないため〔腫瘍によって、
すい臓や、ひ臓、胆嚢からの分泌物が正常に分泌されないらしく)糞が乳白色で
異常に臭い。 そのため、糞をするとすぐに取ってやらないと、小さなハナコのケージの中は
臭くなって大変だ。 ぐったりとしていたハナコだが 、彼女のお気に入りのバスケットボール
(ゴルフボールくらいの 縫いぐるみのバスケットボール) を入れてやると、
喜んで中に引っ張り込んだ。
ペットショップで、シニア猫用〔7歳以上)を数種類買ってくる。
彼女には内臓機能の衰えた老猫用の フードの方が向いているに違いない。
高脂質では分解出来づらいだろう。
案の定、彼女はドライフードのその餌を寝床から這い出てきて、自ら食べはじめる。
「食べろハナコ、食って生きろ !」毎日励ましつつ、餌を枕元に置く。


2002年4月16日

ハナコのバスケットボール


最近体に、少し肉がついてきたように思うが、体がむくんでいるのか?
しかし、病院に行っているころに比べたら見違えるほど目の色が良い。
相変わらず、鼻は真っ白いので赤血球は少ないままなのだろう。糞も一時期よりも
臭くない 餌の食いも良い、糞が前は軟便だったのが、良い形になりつつある。
自分のケージから出て皆と寝たがったり、遊んでくれと足にまとわりついたりする。
その実、座れば遊ぶよりも、ひざの上に来て寝てしまうのだが…
でも、 当初の「今にも死にそうな彼女」と、同じフェレとは思えない。
お気に入りのバスケットボールも、追いかけては持ち帰る。まだ走りは力無い。
彼女はどうなのだろう?腫瘍が良くなったとは思えないが…
しかし… 良かったあの時、 無理をして手術に踏み切らなくて、
まかり間違って死んででもいたら、こうして お気に入りのボールを追いかけるハナコを
見る事は出来なかったろう。 今はただ彼女を見守ることしか私には出来ないのが実情だ。


2002年4月20日

ウンコ臭い

内疾患で脂肪分を分解するための分泌液が正常に分泌されなくなってから
ハナコの糞だけが以上に臭い 。
基本的にフェレットの糞は、ほとんど臭わない。かえって食べる前の餌の
方が生臭い匂いを放っているものだ。それが親指の先ほどの糞でも、人間の
糞のような、強烈な匂いがする。おそらく人が訪れると、かなり臭い家 なの
だろう。
今日、糞を取ったばかりなのに妙に臭いので、しきりにクンクンと鼻をやり
やっと匂いの出所を究明。ハナコの足に大量の糞が付いている(^^;)
ちょっと私が寝ている間に、トイレにいくつも糞をしていたので、その中の
1個を踏んづけてしまったらしい。さっそく洗面台で足だけを洗剤で洗う、
2度ゴシゴシ洗って、やっと匂いが取れた。世話を焼かせるやつだ。


2002年5月10日

連休中に…

連休終了間際、実家に息子と帰省していた 私が帰宅早々、
玄関脇のハナコのケージを覗き「ハナコ〜」 って声かけると、
ガサガサとハナコが起きてきたのを見て 家内が声をあげる
「あ〜良かった〜〜」
その様子に、話しをきいてみると…
私が連休中、息子と帰省していたとき、 家内は一人で
フェレットの世話に自宅に残っていた訳だが
その間、ハナコは一度も外に出ようとしなかったらしい。
鼻も真っ白で、目もトロンとしていて …
いつぞやの病院の頃を 彷彿とさせ家内を不安にさせたそうだ。
家内いわく、「連休中にハナコに、もしもの事があったら
帰宅した皆になんて申し開きしよう」って、
それは心配 だったと言う。
どうやら、家内の見ていた時間帯がハナコの調子の悪かった
時間らしく、相変わらず他の2匹の寝床にもぐりたがっている。

しかし、彼女専用の3階(下2階はタロウ&ジロウ用)にある
彼女の餌や水を、タロウが取りに来ると、前は威嚇していたのに
最近は関係なく寝ているのが、少し気になってはいる 。


2002年5月16日

糞が…

このところ、起こさないとほとんど寝ているハナコ。
しかし身体の肉は、一時期より付いてきたのが目に見えてわかる。

糞の色も濃くなり、匂いも前ほどではない。
形も大きな元気な糞をするようになってきた。
餌の食べっぷりもいい。目の色も元気そうだ。
今日は洗濯機を回す際に、他の二匹と同じケージに入りたがるので
入れてみると ジローのハンモックで熟睡。しかし洗濯後
ケージを開けると自分の3階のケージに上がってきて餌を食べ水を飲んで
3階のケージで寝る。やはりここが自分の部屋って感覚なんだろうか
当分3階を取り壊す(^^;)事も出来ないようだ 。


2002年6月5日

紫斑が目立ち始める


寝ている時間の方が長くなり、ケージに入れて入り口ドアが開いていても
ほとんど外に出たがらない、開いていても出て来ない。
息子の家庭訪問があるので、3匹を洗うとき一緒にハナコも風呂に入れる
前回よりもしっかり洗ってやる。
腹に紫斑が目立つ様になってきた。以前医者に行ったとき、それを言われてから
気にして観ていたが、一時期目立たなかったのに、最近はっきりと分かるように
なっている。血小板が少ないので、内疾患の出血が固まらないのだと言われた。

糞は大きめなのをしてはいるが、イマイチ本調子でないかもしれない。
外に出るると、タローやジローのハンモックや敷物の中に一緒には入りたがるが
他の二匹が起きていると嫌がる(他の2匹が、ハナコの匂いが変わっているので)、
仕方ないので、他の二匹が寝ている時間を見計らって…
そっとハナコを仲間に入れてやる しばらくは皆気づかすに寝ている。
つかの間の幸せを、ハナコに分けてやってくれよ、タロー、ジロー。


2002年6月26日

お腹が膨れる


腹の紫斑は変わらないまま、痛々しく青ずんでいる 。
そばを通ると、ケージから降ろして欲しくて 出口を出てくる。
下に降ろすと、玄関のトイレの外〔いつものスペース)で糞をする。
狭いケージの中のトイレを汚したくないらしい。
糞をした後うろうろ歩き回るが、結局足にまとわりつき座れと要求
座ると足の先からズボンの中に潜り込んで遊びたがる。
ハナコのいつもの遊び方である。
抱き上げると、腹がプックリと膨れている、腫瘍が大きくなっているのか
ハナコ自体の様子は変わらない。
相変わらずバスケットボールが転がっていると…くわえて
お気に入りの場所に持っていく。


2002年7月10日

暑さにぐったり


全員が、このところの暑さでぐったりしているので、
ハナコのケージに、水を入れて凍らせたペットボトル を
タオルにくるんで置いてやる。
これは結構気に入ったらしく、ぺったりとペットボトルを抱きしめて
昼寝している。
あんまりくっつくと、身体が冷えちゃうので…チョット心配。
最近は、ほとんど寝ているフェレットたち、
しかも手足を伸ばして腹を床にペッタリ貼り付かせて動かない。
何とかみんな、この夏を乗りきってくれよ…と祈るばかりだ。


2002年7月23日

夏の入浴


最近は暑さにすっかりまいっている様子、
暑いので少しぬるめの風呂に入れてやる。
腹を洗おうと水をかけ、ブラシを持った私の手が止った
腹は真ん丸く膨れ上がっており、紫色の紫斑は腹全体をしめ
ブラシでこすれない状態に…手で軽くこすって終わらせる。

本人はいたって元気そうなので、フビンでならない。

元気と言えども、今日は一日ケージから降りてこなかった。


2002年8月6日

ペットボトル


凍ったペットボトルをケージ内にタオルで巻き
転がしておいてやる。 多少は涼しいらしい。

夏とは言え、食欲は旺盛だ
フンは軟便続きでチョット心配。

ケージから出てくるのは、ほんのチョットで
最近殆ど寝ている。


2002年8月8日

一日中ケージから出ず


今日は朝から家の中の改装工事だったため
フェレ達は一日中、ケージに押し込められたまんまだった
タロ&ジロは「出せ出せ」攻撃でケージをバリバリやっていたが
ハナコは静かに寝ている、最近ケージに手を突っ込んで
彼女の体温を確認する頻度が増している。

2002年9月6日

足下に顔スリスリ


最近は足の毛(内もも)が、かなり抜けてきて抱くとTシャツに白い毛がたくさん付く
3階の自分のケージから抜け出して下のケージの仲間のハンモックで寝ることが多くなった。
夏バテ防止用に、フェレット栄養剤(水溶性)を時々与えるようにする。

私が歯を磨いていると、足下に顔をこすりつけてくる、
いつものように座り込んで歯を磨きだすと、ヒザに登って来て上で寝だす。

鼻がちょっと前よりもピンクがかった気もするが、気のせいの域を脱していない。


2002年9月20日

遊んでコール


他のフェレットが 病弱になった事もあり、ハナコが一番元気に見えるから不思議だ。
一番遊んでコールも多い、仕事場にいると…ケイジの上から顔をのぞかせ
仕事場をじっと見ている、トイレに行く度に起きてきて、足下にまとわりついて遊べとねだる事が多くなった。


2002年11月20日

鼻こ(^.^;)


最近ハナコの鼻が、ピンク色になってきている。一時期死にかけた頃は
真っ白な鼻で、彼女の白い毛から鼻に変る境目がわからないほど真っ白だったのだが
ここ数日見るかぎりではかなり赤みがさしてきて 、肉球もキレイなピンク色をしている。
少なくても貧血症状は緩和されているのかもしれない。つくづくあの段階での手術を
強攻しなくて良かったと思う。
相変わらず糞は柔らかめである。


2002年11月30日

ハナコの鼻がまた…


ハナコの鼻がここ数日また白くなってきて、本人も疲れ気味だ。
起きてきても…目がとろ〜んとしている、毛並みも悪くなっている。
仕事の合間に、抱き上げては「具合悪そうだね、おなかどう?」って話しかける
相変わらず人の鼻をペロペロと力なく舐めるハナコ。


2002年12月16日

朝おどろく


タロウの看病にかまけている間に 、ハナコが痩せ始めている。
朝、2階のサナトリウムケージのハナコが 、半目を開けてだらりと頭を
ケージの外にたらしている。おどろいて呼びかける…反応が無い。
出がけだったので、頭をゆすって「ハナコ!!?ハナコ??」って
大声を出すが動かない、しばらくしてゆっくりと目を開けて…いつものように
立ち上がる。「お前の爆睡はシャレにならないよっ!!」真剣に驚いたのだ。

しかし、気のせいではなく今日はぐったりと力なく一日中サナトリウムにて
ぼんやりと寝ていたハナコ。

いい機会だから、タロウと一緒にダックスープをあげ始めることにする。
腹の腫瘍は膨れ上がっていて、空腹時でも下っ腹が
パンパンにはち切れそうに腫れていて、痛々しい。
今朝のように、眠るように逝けることが、この力ない飼い主に出来る
せめてもの望みだ 。


2003年1月4日

腫瘍が大きくなって


相変わらずお腹はパンパン、おそらく腫瘍が大きくなっているのだが
それに伴って、胃袋が圧迫されているのか、食が細くなって、その分…
何度も食べるようになってきている。鼻色も白い。
それでも苦しがっている様子はないので、ほっとしている。
当初(10ヶ月前)の病院の診断の、死を迎える時は「貧血から寝ているように逝くだろう」
との医師の言葉も、今では腫瘍の腫れから苦しんで死ぬのでは…と、それだけが心配だ。
腫瘍の腫れで苦しんでいるハナコを前に、安楽死の判断を迫られるのだけは
勘弁して欲しいと願う。


2003年1月9日

また病院へ


何度もトイレの前で座るが、糞が出ないハナコ。その頻度も尋常ではないので
午前中に病院に連れて行く、既に素人の私にでも触診で腫瘍の感触が判るほど
大きくなっているので…臓器を圧迫して糞が出づらくなっているのだろう。
「タロウ君ですか?」「いえ、ハナコです」医師は3月に診断したハナコが
生きているのが不思議な様子「9ヶ月か…頑張ってますねハナコちゃん」
3月には明日をも知れないと言われたのだ、確かに頑張っている。

しかし、そのハナコも肥大した腫瘍に小さな下半身がパンパンになって
糞も出しづらくなっている。
レントゲン、肛門からのバリウム検査の結果、浣腸でも届かない部分で
小腸が圧迫されているらしい。しかし…固形糞はない(練り餌の成果か)
硬い糞が出来ない状態なのか…。
今やハナコの腫瘍は消化器系の臓器を完全に圧迫している。
後1ヶ月で、呼吸器系も圧迫しだすらしい。

話が違うよ…3月の時は「貧血で眠るように逝く」って話しだったのに
このままでは、餌も食べられなくなって、息も出来なくなって…
苦しんで逝くって事だ。
いったいハナコが何をしたって言うんだ、
確かにタロウとジロウにちょっと悪さをしたけど、…みんなの足も噛んだけど…

結局何も出来ないまま帰宅。
帰宅途中のキャリーの中で、糞をしたらしく白い軟便がキャリーの中に散乱していた
それは酷い状態で洗って干すのに時間を割く事に…
それをふき取りながら、足もとに寄ってくるハナコに「良かった糞が出たねぇ」と言う
いいさ、こんな事しかオレにはやってやれない。
「苦しまずに逝かせてやりたい」と、願う事だけが精いっぱいとは、非力な飼い主は涙する。


2003年1月10日

トイレを行ったり来たり


帰宅すると、ハナコが足もとに寄ってくる、
バイトを舐めさせながらあたりを見渡すが…ハナコの糞らしきものは見当たらない。
「また糞出てないねぇ、苦しいねえ」とか声をかけるがその時はトイレにウロウロ。
他の連中は寝ているのに彼女だけは 糞が出なくて…眠れないようだ。

玄関のくつ脱ぎ場と、人間のトイレの前が、ハナコのトイレ場なのだが
その2ヶ所プラスケージの中のトイレの3ヶ所を行ったり来たり…
しゃがみ込んで、しばらくじっとしているが、何も出ないまま別のトイレに 移動
そしてまたしゃがみ込んで何も出ずに他に移動。
見ていると、そんな事を延々続けている、みるに見かねて腹を何度もマッサージしてやるが
何の効果もない、それでもハナコは腕に抱かれていると安心するようだ。
こんな力の無い飼い主を頼っている彼女が不敏でならない。


2003年1月19日

下血が始る


玄関に血のあと、小便の中に薄く血が混ざっている。
誰かの血だとは判るが…血尿なのか?しばらく様子を見る。
やはりハナコだ、しかも血尿だと思っていたが…肛門から出た下血のようだ
消化器系が腫瘍に蝕まれて、腸内で出血を起こし始めたのか、単に圧迫による出血か
医者には連れて行くが…結果を聞くだけだろう。

フェレットオーナー仲間から、他の病院もすすめられたが、彼女の場合入院診察が
極度の緊張と環境変化に敏感なため、入院や通院で体力消耗が著しい。
ましてや開腹手術が出来ない今となっては、苦しみを増幅させるために
リスキーな遠方の病院に連れて行くのは忍び難い。
かと言ってこのまま日々大きく膨れ上がっていく腫瘍を抱えているハナコも見るに堪えない。

彼女のからだには大きすぎる腫瘍…、抱くたびにての中に感じる腫瘍は大きくなる。
反面、ハナコは骨を抱いているかのようにゲッソリと痩せこけて…目も落ちくぼんでいる。
相変わらず、便が出ずらいので、ほんの一つまみの量だけ食事をする。
練り餌が間に合わないときは、固形をカジっている余裕もまだあるようだ。

食後はフェレットバイトを大目に舐めさせる。
腫瘍が体内で爆発して苦しみ出すのだけは味わわせたくないものだ。


2003年1月30日

虫の息…危篤状態に


そろそろ食事の時間だと思い、のぞいてみると、目を開けて口を半開きにしている様子に
いつもの爆睡でないと確信(ハナコの爆睡は今まで無い)
声をかけても反応が無い。
首を持つとダラリと力なく落ちてしまい口を開けたまま目もうつろ
微かにとぎれとぎれ息をしている…来るべきときが来たと確信仕掛けるが

病院へと思い、抱き上げようとすると、突然大口を開けて「ぜえぜえ」と細かく苦しむ
動かせない…
それでも声をかけながらヒザに抱き上げる「もう、頑張らなくてもいいよ」と言い聞かす
もう充分頑張った。
突然眠っていたようなハナコが「きゅううううう」っと苦悶の声をあげる
その直後手元が生暖かくなる、失禁したらしい手の中に尿が漏れている…
ハナコは歩いてトイレに行きたかったのだろう、寝たまま出すことが苦痛だったらしい
でも、もうどこに出してもいい、私の手の中にでも糞を一杯出来たらしてくれ
そうしたらもっと楽になるのに…涙ながらに思う。

それでも、このままは見ていられない、開いた口に、注射器で水を垂らす、
すると、どうだ ノドが動く…「飲めるのか?」
安楽死を真剣に考えたが、「もしや」と思いノドに水を入れつづける、殆どこぼすが
微量にノドに入っているようだ、気管に入るのを気をつけながら バイトを薄く溶き
ビタミン剤(フェレ用)を混ぜた液を作り、口のハシからノドに流し込む。


楽にしてやりたい、そう思う反面…せめて息子が帰ってくるまで、
家内が戻るまで頑張って欲しいと思う。
ヒザに抱きながらバイトを与えて1時間後 、目に精気戻ったような気がする
その内、私の手を舐めだす。「ハナコ…」
徐々に身体に力が入りだす。更に1時間後自力で起きてトイレに行きだす。

餌をろくに食べないくせに、トイレをはしごしながら…起きているあいだずっと
出ない大小便をしぼり出そうと試みるハナコ、 そんな事を繰り返しているあいだに
おそらく低血糖を引き起こしたのだろう。

すぐに隔離する、外にいるとトイレが幾つもあるので必然的に動き回ることになるので
隔離ケージの中だけにするようにさせるほうが余分な動きを防ぎ体力温存に繋がる。
その反面、ケージのトイレの中は汚れてそこら中に微量な糞がつきまくる、敷物も
糞が付いたら捨てる(日に何度も)ハナコはトイレの中で踏ん張っている体力が
すでに無いので、こまめに糞の有無を見ないと身体に付いてしまう。
それでも生きていただけ大したものだ。ぐったりはしているものの外に出せと
ケージをガリガリする力は出て来た。でも可愛そうだが…出すわけには行かない 。
心細いのだろう、あれだけ喧嘩していたタロジロの間にもぐり込みたがる
隔離ケージに暖める器具を入れても、みんなの所がいいらしい。


2003年2月6日

糞をしながら悲痛な声を漏らす


相変わらず糞がでないハナコは起きている間延々トイレを駆けずり回る
ニオイが違う場所、違うところを歩きながらあちこちで
糞を出そうと奮闘するが、出ない。悲しげな悲鳴をもらしながらトイレに
へたり込んでは、また起き上がり別のトイレに移動してへたり込む。
気づくと、太股から腹にかけて尿が付いているので、洗面台に湯を張って
手と足も洗ってやる 。手足は冷えきっているハナコだがお湯の温度に
ホッとした表情になる。本来なら風呂に入れてやりたいが体力を消耗するので
部分的にだけ洗ってやる。もうハナコと風呂に入ることは無いであろう。

夜中は心配なので、二階の小形ケージに入ってもらう。


2003年2月7日

病院へ


抱くと尿がボタボタと出てしまう。ヒザに抱くと私のズボンにかなリの尿が染みている。
タロウやジロウと一緒に寝ていると、彼らも尿まみれになる、敷物もオシッコだらけ
かろうじて糞だけは外でしているが、腫瘍が膀胱を圧迫しているのだろう。
手の尽くしようが無くても、もう少し…ほんの少しでも楽にしてあげたいと思い
かかりつけの病院へ連れて行く。いつもの担当医さんが診てくれる。
「ハナコちゃん頑張ってるね」と体重計に乗せると、 600g …
… 1ヶ月前に来た時から100g減っている。
結局診察台の上でも尿が出てしまったので、医師から膀胱をかるく押さえて
尿をしぼり出すやり方を教えてもらう。糞も肛門から棒を突っ込んで少し出してもらう。
副腎の腫瘍は少しだけ取るというわけにはいかないんですよ、出血も多いですし
だから、外科的にも投薬でも これ以上の事は何もしてやれないんです
」予想していた通 りだが
なんだか悲しい。
「今後の彼女は、どうなるんです?苦しむんでしょうね?」の問に
膀胱が圧迫され尿が出なくなると、尿毒症を併発して最終的には痙攣(けいれん)を起こして
苦しんで死にます、だから…そうなった時にはウチでも、それなりの……
」先生は口ごもるが
安楽死、それが迫ってきていることを知り、30分で帰宅する。

帰って来たハナコは、真っ先にジロウとタロウの入っている箱の中に潜り込む。
最後まで出来れば皆で一緒にいさせてあげたいと只願うばかりだ。


2003年2月10日

後ろ足を引きづるようになる


2時間おきくらいに、寝ているハナコを起こしては、尿を絞りだす。
親指でボウコウ〔プチトマト大)を探り出して押しながらしぼり出す
ポタポタと足元に置いたティッシュに尿がこぼれ落ちる。

強く押しすぎたりすると、肛門が飛びだしたり血尿が出たりで
彼女の様子を見ながら慎重に優しくしぼる。

最近は後ろ足を引きずってトイレに行く、歩くときはあちらにフラフラ
こちらにフラフラと、腫瘍がバランス悪く腫れ上がっているので、うまく歩けないようだ。
それでも尿を絞ってやると、ゆっくり眠れるらしく、前よりも長く寝ている。
体力が消耗して起きられなくなったのかもしれない、食欲は見た目よりも有り
他の2匹が食べる時に起こすと、一緒にスプーン2杯くらいの練り餌
〔固形にすると6〜7粒か)を食べる。


2003年2月11日

もうダメか…


尿をしぼる前に、寝床で漏らしている。
身体が汚れているので、下半身を日に3回温水で軽く洗ってやる
その間も目を閉じて寝ているようだ。

今日は食事の皿に、目を閉じたまま顔を突っ込み、鼻まで入ってしまい
何度もむせる、仕方なく、口をこじ開けて押し込むが、練り餌を口に入れたまま
1度もアゴを動かさず飲み込もうともしない。

バイトをビタミン剤で溶いて注射器で無理やり口へ押し込む、
かろうじて少し飲む。その間に寝ながら糞をしてしまう。

寝ているままなので後ろ足の間にティッシュをはさむが、みるみる尿がしみ出る
「覚悟」なるものが固まりつつある。
家内と息子は外出していて…夜まで帰らない、せめて皆が帰宅するまで頑張れハナコ。
それともまた、起き上がれる様になれるのか?


2003年2月12日

なんとか…


不安なまま、息子に預け、溜まった仕事を片付けに外出
帰宅すると、息子が「少し餌を食べたので、オシッコを2回しぼったよ」と、言っていると
ハナコがフラフラの足腰で玄関にお迎えに出る。
抱き上げるとおしっこ臭い、下半身がびしょぬれだ …
水道から温水を出して、洗面所で半身浴をしてやり、餌を与える。

もうトイレに行くのも、やっと歩いている。夕べの症状から歩けるとは思わなかった
あれしか食べていないのに、よく歩けるものだ…彼女の生きる根性には頭が下がる。


2003年2月13日

逝ってしまったハナコ


12日の夜中から明け方にかけて意識が薄れてきた、それでも外に出歩こうとするが、もうまっすぐ立っていられない様子で、物凄い勢いで横に倒れる。また立ち上がろうとして逆方向に倒れる…それでも足はバタバタと歩こうと必死に動いているが、起き上がれない。
縫いぐるみをくわえて全力疾走していたハナコは、本当にこのハナコなのか? 見ておれず…抱きかかえて箱に戻す。

朝、既に水しか受け付けない。
エサを無理やり口に押し込むが、吐き出してしまう。
目は閉じたままだ、ジロウが顔をのぞき込むと、微かに反応する 。「ハナコ!皆そばにいるぞ、ここは家だよ病院じゃなよ、みんな一緒だからね、心配いらないよっ怖くないからね、よく頑張ったよ 」っと声かける。
「くうっ」と小さく声を出し前脚を動かす。でももう、以前のように私の顔を舐める気力はない。

バイトをビタミン剤で薄めて溶いて流し込む。
「くうぅ」と軽く声を出しながら、糞をする。
キレイにしてまた寝かせてやる。ときよりピクリ、ピクリと 手が動く…夢を見ているのか?
最初に我が家に来て、自分の倍の大きさの兄貴達にケンカを挑んだ頃の、そんな元気な頃の夢を見ているのか?
保温器で身体を暖めてスポーツドリンクを与える、もう殆どノドを通らない様子で、ダラダラと口の端からこぼれてしまう。

「何も食べないと死んじゃうぞ」…仕事の催促の電話がなる。30分ほどだったか、机に向かってから戻るともう呼吸の動きも息遣いも鼓動も聞こえない。「逝ってしまった」ひとりで寂しく逝かせてしまった。一晩中一緒にいてやったのに、肝心なときに、何をやっているんだ私は。保温器のせいでかまだ暖かい、でももう起きて走ることはない、そのかわり糞が出なくて苦しむこともない、みんなの足を噛んで怒られることもない、座り込んだ飼い主のズボンの中に入り込んで寝てしまうこともない。ジロウやタロウとケンカすることもない…もう食べたくもないエサを無理やり口に押し込まれるために、起きなくてもいいんだ。

こうしてハナコは、もう起こされなくていい眠りについた。


▲2月11日おしっこを絞られるハナコ


▲もう起きないよアタシ、疲れたもん
タロウが語るハナコの思いで

タロウ
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ハナコ

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